2016年5月14日に初日を迎えた、ミュージカル「ブラックメリーポピンズ」2016年版を観ています。
私の愛する小西遼生さんをはじめ、5人の出演者のうち、4人が初演に引き続き出演されるこの作品。
今回はヒロイン・アンナ役をしょこたんこと中川翔子さんが演じる。
しかも彼女は今作が初舞台。というわけで、かなり話題にもなっており、幕が開くのを待ち構えておりました。
初演から2年経ってますが家にDVDもあるし、そんなに久しぶりって感じじゃない。だからきっと、冷静に観られるよねと思ってたんだけど・・・
初日、オープニングの曲が流れただけで「あ”あ”あ”あ”!!」つって泣いてた(笑)
重いというより、ヒリヒリ痛いこの作品、どうしてこんなに好きなのか 自分でもさっぱり分かりませんわ。
ブラックメリーポピンズのあらすじは、2年前に大作を書いております(笑)なので、あらすじについては、そちらをお読みいただけると嬉しいです。
ただし豪快にネタバレしておりますので、これから舞台を観る方はご注意くださいねん
>>舞台「ブラックメリーポピンズ」を観てきました(2014.7.6)
さてそれで、今回のブラメリポ(遼生さんがそう言うから 私もそう書くぞ)、初演と比べてより分かりやすく、感情移入しやすくなってると感じます。
ネタバレを避けて説明するの難しいけど・・・例えば取り調べを受けた子どもたちの去り方とか。事件が起きてる時の、男の子たちの動きとか。
歌詞やセリフもちょっとした違いで、より心情や状況が分かりやすくなってるのに、説明的ではない。情報過多にせず、スッと腑に落ちる感覚になってて、進化したというより、磨かれた感じ?
洗練されたというのかな。もう、演出の鈴木裕美さんに惚れる勢いです。裕美さん大好き。いつかご飯でも奢らせてください(笑)
ストーリーは全く同じなのに、初演と全然違う。初演も大好きだったけど、今回のはもっと好き、って思いながら観ています。
この作品を観てて、個人的に面白いと思うのは、誰に感情移入するかが、場面によって移り変わっていく点なのよね。
私は長女であり、女であり、母親でもある。そして子ども時代、あんまり幸せじゃなかった。
孤児じゃないし、ブラメリポの子どもたちみたいに強烈なトラウマがあるわけじゃないけど、普通じゃない環境に育った子どもが、幸せにどれだけ懐疑的になるかは知ってるつもり。
ふつう、お芝居観てると、その中の誰かひとりに感情移入してしまうことが多いのよね。でもブラメリポは、場面ごとに前面に出ている人物が、いちいち私に乗り移るの。
ハンスが苦悩すれば私も苦しいし、ヘルマンがジリジリすると私も焦れる。ヨナスが泣くと私も泣きたい(笑)
そしてアンナとメリー・・・アンナの身に起きた事件は、幸い私には経験ないけど、女の身として身の毛がよだつ。母親でもある私には、メリーの心情もヒリヒリ沁みてくるし。
そんなこんなで、観終わるとものすごく疲れる(笑)
でもね、ラストの変更点もまた、いい感じにハッキリと「救い」を表してて、ビリビリくるけど、もうイヤだという気持ちにはならないの。
メリーは自分の過去も背負って、子どもたちの傷も引き受けて生きてる。
死んでしまいたいと思うだろうに、生き続けていたのは、逢ってはいけないと思いながらも、どこかで子どもたちとの再会を望んでいたんだろうな。
万が一、記憶が戻ったときに自分がいなかったら・・・とも考えたかもしれないし。
とか思うと今また泣きそうよ(涙)
初演のアンナ、音月桂ちゃんは背も高いし目鼻立ちもキリッとしてて、舞台映えした。なんといっても宝塚のトップスターだった人だし、舞台に立つための訓練をハンパなく受けてるでしょ。
それを考えると、アンナがしょこたんになって、どうなるかな~と思ってたのね。
初日を観た時、「おお~しょこたん意外とやるじゃん!」って感じだった。思ったよりやる、みたいなね。
それが日に日に、舞台上で人生を生きる人になってると感じて、どこまで行くのかもう見届けたい気持ちでいっぱい。
桂ちゃんもキレイなアンナだったけど、しょこたんは小っちゃくて こまっしゃくれてて、人形みたいで可愛い。
でもしょこたん本人が持ってる、「内に籠る気質」みたいなのがいい感じにアンナっぽくて、だからこそ余計に事件が痛々しい。
そしてね、不思議と、桂ちゃんアンナの時より、「ヨナスにとってはお姉ちゃん」なのをすごく感じるんだよね・・・あれはどうしてなんだろ。不思議。
演出の他に、すごい変わった!と思ったのはヘルマン。上山竜治くん、芝居がうまくなったね!ってしみじみ思っちゃった。
失礼かな?ごめんね。でも正直な感想なの。うまくなった、すごく。
ちょっとした動きも、台詞のニュアンスもいいし、事件の時の、殺意と憎しみが爆発してコントロール不能になるところも、大仰でなく、そうなるよな!っていう説得力がハンパない。
ヘルマンが初演よりも賢く、直線的に強くなってて、その分遼生さん演じるハンスの、弱さというか・・・知性にすがる繊細さみたいなのが、強くあぶりだされてるようにも感じる。
賢いからこそ逃げずに真実を知ろうとしたハンスは、博士とメリーがしていることの、明確な理由が欲しかったのじゃないかしら。
何をしているのかはだいたい想像がつくけど、何のためにそれをしているのか?
裏切りや利用ではなく、仕方のない理由があって欲しかったのではないかな。賢い人が陥りがちな選択ミスではないか、と思えたりもして、それがまだ苦しい。
このへん、語りだすと止まんないわね(笑)
ハンス兄ちゃんを演じてる遼生さんの、苦悩をまとった色っぽさも、語ると尽きないけど。それについちゃ、3日間は語る自信あるよ私(威張)
良知くんも初演とまた違ってて、「遠くに薄くぼんやりと見えている真実に、焦点を合わせまいとしている」感じがすっごい強いと思う。
良知くん演じるヨナスが歌うたびに、お話は事件の核心に迫っていく。
錯乱してるヨナスが、明確な意識をもって歌ってる時の、今にもぱきんと砕けそうに張った感じ。それが、あの綺麗な顔と相まってすごく怖いの(震)
メリーの一路さんはもう、存在感だけでお金払える。払わせてください(平伏)
今回ラスト近くのお歌に、「私の子どもたち」って歌詞が足されてて、そこまでも散々泣いてたけど、それがとどめで泣き死ぬかと思ったよね。
幸せな子ども時代の回想シーンも可愛さアップしてるし、もうもう本当にいいです。何度でも観たい。
初演との違いを、間違い探しみたいに見つけようとはしたくない。でも、「こっちの方が好き!」と感じられるところが増えていると、嬉しくなるわ~。
そんなこんなで、めっちゃ楽しんでおります、ブラックメリーポピンズ2016年版。
東京公演は初演と同じ世田谷パブリックシアターで、2016年5月29日まで。2016年版は地方もあって、兵庫・福岡・愛知で公演が。
後ほどDVDも発売になるそうですけど、一度は生で観るのをお勧めしたい~
というわけで、初演に引き続き、どっぷり浸ってるよ~って話でした。
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