私の愛する小西遼生さんが現在所属している、キューブは今年創立20周年だそうでございます。
その20周年記念作品「魔都夜曲」が2017年7月から上演されておりまして、それに遼生さんも出演されておりました。
当然、観に行くわけですが、好きな役者さん多いなキューブ。と改めて思った。声のいい役者さんが多いのね~
所属したの、わりと最近なのに遼生さんを主要な役で使ってくれてありがとう。おまけにお土産付き前方席限定のプレミアムシートなど販売してくださって。
銀行口座は疲弊しましたが、大変幸福です。どうぞまたよろしくです。
さて魔都夜曲ですが1939年の上海が舞台。
この時代の中国といえば映画「ラスト・エンペラー」ですな。
反射的に坂本龍一氏作曲のテーマ曲が頭に流れるわ・・・あっ、トニー・レオンの「ラスト、コーション」もこのへんの時代じゃない?
と、思って観たら本当にその2作品ドンピシャでした。
音楽劇と銘打っているだけあって、劇中歌われたり、演奏される曲がとても素敵だったのよん。
遼生さんはほとんど歌ってくれないんだけど、中国語なまりの日本語で話すセリフがまぁ聞いてて気持ち良いくらい、なまってる。
「ん」が発音されなかったり、絶妙に濁ったり音が飛んだり。
スゲー・・・つって感服し、歌ってないけど不満はないという結果です(笑)。
私はここ3年くらいの遼生さんしか知らないんだけど、こんなに舞台でニコニコ笑ったりお茶目なことしてる遼生さんは初めて観た。
相変わらずカッコいいとこもありつつ、なんせ可愛いので毎回ニヤついて観てたわ(嬉)
さてここからはネタバレ&私の主観でお送りしますわよん。
1939年の上海、共同租界の路地裏で、暴漢に襲われている男女を助けた白河清隆(藤木直人さん)は、公家の血を引く要人の子息。
父の指示により上海へやってきた彼は、助けた彼らと意気投合し友人となる。
周志強(ちょうちーちゃん・小西遼生さん)と周紅花(ちょうほんふぁ・マイコさん)は仲の良い異母兄妹。ホンファは母親が日本人で、日本語が堪能。
日本語が話せる二人とたちまち親密になった清隆は、魅力的なホンファに惹かれていく。
兄のチーチャンはホンファも清隆を愛しく思っている、と告げるが、清隆は身分の違いから、深い仲にはなるまいと決めているようだった。
3人が足繁く通うフランス租界のクラブ、ル・パシフィークには魅力的なJAZZバンドと歌姫・字春(ゆーちゅん・秋夢乃さん)がいる。
支配人の新田日出夫(橋本さとしさん)が仕切るル・パシフィークには、国籍も思想も様々な人々が集っていた。
ピアノ弾きの鹿取良治(松下洸平さん)はユーチュンに恋をしているが、ユーチュンは清隆のお目付役の外交官・籾田(山西惇さん)と交際している。
清隆とホンファ、籾田とユーチュンはそれぞれ愛を育てているように思えた。
しかし外交官である籾田は、やはり結婚は出来ないと告げ、捨てられたユーチュンは自殺未遂し、故郷へ帰ることにする。
良治は店を辞めてユーチュンを追いかけ、「歌だけは捨ててはいけない」と訴える。
籾田とユーチュンの顛末を聞いたホンファに、私たちもきっとうまくいかない、もう会わない方がいいと泣かれ、清隆は彼女を失えないと覚悟を決める。
しかし、実はチーチャンとホンファは兄妹ではなく、国民党の工作員だった。
その任務は清隆を籠絡し、重慶へ連れ出し蒋介石と対面させ、秘密裏に日本と中国の和平交渉を進めさせること。
その作戦遂行中だったのだが、ホンファもまた、清隆に本気で惹かれていた。
そうとは知らず、一度は身分を捨てホンファと暮らすことを決めた清隆だったが、すべてを知った上で改めて、戦争終結のために二人の作戦に協力するという。
だが強硬派の関東軍は和平交渉に反対であり、この作戦も妨害しようと画策していた。
チーチャン・ホンファ・清隆の3人は、医師の西岡(村井國夫さん)や、パシフィークで知りあった川島芳子(壮一帆さん)、甘粕正彦(山西惇さん/2役)の協力を得て、上海を脱出するため、あるトリックを仕掛ける。
はたしてトリックは成功し、ホンファと清隆は重慶へ向かい、ル・パシフィークにもユーチュンと良治が帰ってくるのだった。
あらすじってさぁ、簡潔に書くのホント難しいよね(笑)ダラダラと長く書くなら簡単なんですけどね~。あとはDVDが出るので、それで観てください(無責任)
劇場で先行予約を受け付けてたので、後から一般販売もするでしょうからね。
毎回開演前にね、ミニライブがありまして、インストゥルメンタルを1曲と、ユーチュン役の秋夢乃さんが上海ジャズを2曲、歌ってくれたの。
これがまぁ大変良い感じでございまして、酒が欲しいよ!ってなるのよ(笑)DVDはここから入るのかなぁ。あるといいなー。
お話としては、壮大なテーマが語られるってわけでもないし、人の業とか闇をのぞき込むようなヘビーなものでもない。
その分、軽いと感じなくもなかったけど、お話は展開も早く、緩急ついたシーン構成とイヤな気分で終わらない演出の妙で、楽しく観劇させていただきましたわ。
初日に観た時は、正直言って藤木さん演じる清隆の真っ白な感じ(服のことじゃないのよ)にちょっと鼻白む気分に。
いくら高貴なお方でも、そんなに誰のことも嫌わず憎まず、悔しがらずにいられるものかしら?って。
でも3回目だったかな。私の中で、清隆の人物像が突然くっきりした回があったのね。
チーチャンとホンファが兄妹ではなく恋人同士で、和平交渉のコマとして自分を使おうと近づいていた、ってことが明らかになるシーン。
それがわかった上で、
「そういうことならホンファの話は後回し、戦争を終わらせることが先だ」
っていう清隆は、虚勢を張って言ってるわけじゃない。
自分が果たさねばならない使命、自分だから出来ることがわかっている人なんだ、ってことが浮き上がって見えた。
戦争終結のために、自分に出来る具体的なことは何か。何も出来ない人もいる。チーチャンやホンファのように、工作員として任務を果たそうとする人もいる。
特別な身分に生まれつき、一般の人々とは違うしがらみやしきたりに縛られながら、それでも
「選ばれた身分だからこそ出来る、しなければならないこと」
が身体に染みついている人。
生きるステージが違うとはこのことか。と思ったわ。
そうして、ラスト重慶に向かう船の上で、ホンファの肩を抱きながら決して明るい表情ではないのも、市井の人々とは違う面が見えているからだろうなって感じた。
戦争さえ終われば、また元の穏やかな暮らしに戻れると信じたいけど、現実にはそうじゃない。
快楽にしろ憎しみにしろ、身体に刻まれてしまえば知らなかった頃には戻れない。
中国と日本は戦争前の状態には戻らない、ってことが、清隆の立場では見えてしまうのだろうな、って。
泣けちゃう場面もちらほらありましたが、私にとって一番キたのはキッド咲麗花(さりか)ちゃん演じる花売り娘のところ。
ホンファが道を間違えたフリで案内した阿片窟のある難民街で、清隆が花売り娘から高額で花を買う。
そのお礼にと花売り娘が民謡「茉莉花」を歌うと、ボロボロになった難民たちが集まってきて一緒になって歌う。
平和だった頃には何気なく歌われ、聞こえてきていたはずの懐かしい歌。生活のすべてを根こそぎ破壊された人たちが、ひととき感じたのは希望だったんだろうか。
この場面が好きでねぇ。いつも涙ぐみつつ観てました。
籾田さんの甥っ子、村田中尉(板倉チヒロさん)のヒリヒリした焦燥感にも泣かされたし。
あとね、お話とは関係ないんだけど、李香蘭役の女の子たち(高嶋菜七さん・浜崎香帆さん)が、初日から日を追うごとにどんどん芝居も歌も良くなってて、その成長ぶりに涙が出たり。これでも人の親なもんでね、私も(笑)
若い子が仕事で磨かれていく様は美しいものだわ~今後も頑張ってくださいまし!
ひとりひとりの役者さんが、その人の魅力を最大限発揮してるように感じた芝居でもあり、悪ふざけギリギリに感じさせつつも、要所要所でシュッと締まる展開はなかなか好みでした。
大千穐楽が終わったばかりなんだけどね、もう劇場で予約したDVDが届くのが待ち遠しい(笑)
楽しみました!
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