舞台「アルカディア」を観てきました

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シアターコクーンで上演されていた、舞台「アルカディア」を観てきました。

これもね~、チケットが取れなくてね~(困)

英国演劇界を代表する作家トム・ストッパードの、最高傑作と呼び声が高いという作品の上に、出演者が超豪華。

上演決定とキャストの発表があった時点で、簡単には取れなそう・・・と思いましたが、苦戦しました(苦笑

結局、S席は取れず、不本意ながらA席で観ましたけど、舞台全体を遠目に観れてとても良かったです。

 

あらすじはこんな感じ。

19世紀のはじめ、イギリスの貴族カヴァリー家の屋敷・シドリーパークには、有名な貴族出身の詩人・バイロンが逗留していた。屋敷の令嬢、トマシナ(趣里さん)の家庭教師、セプティマス(井上芳雄さん)はバイロンと同じ大学の友人だった。

トマシナは早熟な天才少女で、好奇心も旺盛。耳にした単語をセプティマスに尋ねては、教えてもらえたりはぐらかされたり。そんなある日、セプティマスは同じく屋敷に滞在していた売れない詩人・チェイター(山中崇さん)の妻との情事がバレ、あやうく決闘するはめになる。

得意の舌先でその場を収めたセプティマスだったが、彼が想いを寄せているのは、トマシナの母であり屋敷の女主人であるレディ・クルーム(神野三鈴さん)だった。

レディ・クルームは娘トマシナの天才的頭脳をあまり良い事に思っていない。女が生きていくのに、優秀過ぎる頭脳は邪魔だと考えているからだ。彼女の関心は目下、屋敷の庭園が、お抱えの庭園設計士によって、どのように変わってしまうのか、ということだった。

レディ・クルームは庭園設計士のプランが気に入らない。庭園の設計図を居間に置き去りにして、母が去った後でトマシナは設計図にいたずら書きをする。

 

場面が変わって同じ居間。200年後、カヴァリー家の末裔はヴァレンタイン(浦井健治さん)という数理生物学を専攻する大学院生だ。この屋敷には今、彼と妹のクロエ(初音映莉子さん)と弟のガス(安西慎太郎さん)、それにバイロン研究家のベストセラー作家、ハンナ(寺島しのぶさん)がいた。

ハンナはカヴァリー家の庭園の歴史、中でも「隠遁者の庵」に住んでいたとされる人物について、熱心に調べていた。しかし、実は隠遁者の庵は庭園に趣をもたせるためのギミックであり、実際には住んでいた人間はいなかった。

200年前、トマシナが何気なく書き込んだいたずら書きが、現代では重要事項として扱われていたのだ。しかし現代の人々は、それを知る由もない。

そんなところへ訪ねてきたのは、同じくバイロン研究家のバーナード(堤真一さん)。独善的で野心家なバーナードと、慎重なハンナは意見が合わず対立。

ハンナに好意を持っているヴァレンタインにはバーナードを良く思えないが、妹のクロエは強引で都会的なバーナードに憧れてしまう。

 

場面はふたたび19世紀。憧れのレディ・クルームはバイロンに夢中と知って、心穏やかでないセプティマスだったが、バイロンは出て行ってしまう。ふとしたことから、レディに心の内を打ち明けたセプティマスは想いを遂げるが、レディにとってはいつもの火遊びのひとつに過ぎなかった。

やがて少しずつ日常は進んでいく。現代のバーナードは先走った論述を発表し、ハンナに矛盾点を指摘され屋敷を出ていく。19世紀のトマシナは上級貴族との結婚が決まり、嫁ぐことになる。

嫁ぐ日の前日、トマシナはセプティマスに部屋に来てほしいと頼むが、セプティマスは応じない。それならワルツを踊って、とせがむトマシナと、セプティマスはワルツを踊る。

現代の研究によると、屋敷はその夜火事になりトマシナは焼け死んだ。トマシナの恋情も、セプティマスの誠実も、現代には記録が残っておらず誰も知らない。

トマシナとセプティマスが踊る居間で、現代ではハンナとガスがワルツを踊り、月夜の晩は静かにふけていた。

 

 

なんせ難しい台詞が多くて、印象に残った台詞を思い出そうとしても、とても正確には思い出せない(汗)

専門用語が多いし、法則とか理論とかわんさか出て来て、「ああ~学生時代にアタマから湯気出した感覚が戻ってくるわ~」とかぼんやり思ったね(笑)

エントロピー増大の法則とかフェルマーの最終定理とか、カオス理論とか何十年ぶりに聞いたかと。

 

芝居を観る前に、寺島しのぶさんが「研究者」と聞いてちょっと違和感を感じたんだけど、舞台で実際に観たら違和感なんて全然なくて、さすがだなー!ってなったよ。

堤さんのイケイケな野心家研究者も、「いるねこういう人!」って感じたし。浦井健治くんのド天然な天才ぶりもすっごく説得力あった。舞台に寝転んで、ペットの亀(稲妻って名前なのよ)と遊んでる姿が可愛くてかわいくて(笑)

トマシナ役の趣里さんも、早熟な貴族の令嬢(13歳設定)がぴっったりで良かった。可憐さの中に芯のある、上品な声がすっごい私好み。バレエを長くやってらしたんですね。お転婆とはいえ、貴族のお嬢さんという役柄が、こちらにすんなり入ってくる立ち居振る舞いでした。

神野三鈴さんのレディ感もハンパないし、もうとにかく誰一人として説得力のない人がいない。結構長めな芝居で、台詞はずっと専門的なものなのに、一瞬たりとも退屈しませんでした。

そして井上芳雄さんがね~、私このところ、芳雄くんとても好きなんだけど、アルカディア観てしみじみ、良い役者さんだなあって思った。

歌声はもう、私なんかが褒めるまでもなく素晴らしいんだけど、こういう歌わない舞台でも、その存在感がしっかりとあってすごくいい。毒舌家で肉食で、でもケジメはちゃんとついてる、清潔な色気のあるセプティマスは、すごく魅力的でした。

 

人生は「そんな、まさか」の連続でもあるけど、気にも留めず、何げなく起こした行動だって、ずっと後々の日々に少しずつ影響し、結果を変えていく。何事も完璧に計算なんて出来ないし、未来は誰にも分からない。

それでも過ぎていく一瞬一瞬を必死に生きていくことが、自らを活かすことになるんだよねって思いながら帰ってきました。

いい芝居だったなぁ。また観たい。

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