今年11月までのペースからしたら嘘のように、12月は観劇がゆったりペースになりました。
っていうか、マジ仕事しないと家から追い出されるっつうの(笑)
で、12月最初の観劇は音楽劇「星の王子さま」。
公演場所のうち、うちから一番近いのは北千住の劇場なんだけど、予定の都合でそこには行けそうもない。うーん。とスケジュールを眺めていたら、
「あら、初日が水戸なら水戸で観ればいいじゃん。水戸ならお義母さんもすぐ行けるし!」
と思いついた。夫の実家が水戸なのでね。夫の母と息子も連れて行こー。というわけで、行ってきましたよん。
文化庁劇場・音楽堂等活性化事業のひとつとして上演されたとあって、チケット代もお安く、パンフレットも販売ではなく一色刷りのものが配布されました。
建物は外からいくらでも見たことがあるけど、施設に入るのは初めてだった水戸芸術館
ここのACM劇場で観ました。小さいけど観やすいホールでなかなか良かった。椅子が固くて、お尻と背中が痛かったけどね・・・しかしチケットが4500円という破格の値段でしたんで、文句ないですハイ。
音楽劇「星の王子さま」は ほぼ、昆夏美ちゃん・伊礼彼方さん・廣川三憲さんの3人芝居。
なんですが、ピアノ奏者の服部佳奈さんが、突然立ち上がってバラになったり飛行士の奥さんになったりして、面白かった(笑)
ワガママなバラが、なかなかサマになってましたよん。
お話は有名すぎて今さら・・・って感じですが、砂漠に墜落した飛行士と、小さな星の王子さまの会話で綴られた、詩のようなお話です。
王子さまが色んな星で出会った大人たちは、みんな変な人ばかり。そして途中で出会ったキツネとの会話は哲学的で示唆に富んでる。
名言のオンパレードで、読んでるといちいち立ち止まって考えてしまうような本。思春期に一度、その後は人生の節目節目に読んでみるといいと思える本じゃないでしょうか。
デフォルメされた大人たちは確かに変だけど、大人なら、自分の中にもその人たちがいる、と感じて身につまされてしまうし(笑)
キツネとの会話が一番好きなんだけど、特に「関わりをもったものに対して、君には責任がある」というのが好きですね。
星の王子さまは純然たるファンタジーであるという説と、政治的な批判を含んでいるという説があるそうですが、ファンタジーって基本的に毒を含んでるもんだと思うんですよね。
作者のテグジュベリは実際に飛行士でもあり、1930年代にリビア砂漠に墜落した経験があるそうで、その経験を別の本にも記してます。
星の王子さまにもその時の経験で感じたこと、考えたことが注ぎこまれてるんだろうなぁ。
彼は恋愛経験の豊富な人だったらしく、奥さんとも別れたりヨリが戻ったりしてたんだとか。そして最終的には飛行機で飛び立ったまま、行方不明になったという。
なんてドラマチックな人生なのかしら。
自分が愛した小惑星や、バラへの愛に対して自信を失った王子さまは悩んで彷徨う。
自分の星に咲いた、いい匂いのする美しい花は、この世にたったひとつの花だと思ってた。しかしよその星に行ったら、いくらでも咲いている「バラ」だと知ってしまう。
このへん、子どもから大人になる時に失う全能感のようにも思えるし、深く知り合ったら急に色あせる、恋人への興味とも近いと感じる。
そしてお話が進むと、他にたくさん咲いていたって、自分と関わりをもったバラはあのバラであり、それはやっぱり特別なバラなんだ、ということに王子さまが気づく。
でもその時には、王子さまには星に帰る方法がなくて・・・
義母と息子と一緒に見たけど、3人ともラストの解釈が違ってました。著作権のからみで、2006年にたくさんの出版社から新訳版が出ましたが、その時、誤訳ではないかといわれるものも少なくなかったとか。
それだけ、さまざまに解釈できるということなんじゃないでしょうかね。
夏美ちゃんと彼方さんの歌声がとにかく素敵。廣川さんも変幻自在で本当に素晴らしかったし、音楽もね、ロック調になったりポップだったりと、退屈せず楽しみました。
3人のほかに、アンサンブルとして多数の人たちが出てきますが、その方達は公演のある地域の方々なんだそうですね。にぎやかし的なものかなーと思ってたら、なかなかの活躍でした。
2016年に入ってからも、北千住と兵庫で公演があります。シンプルで美しい美術、音楽、歌声で楽しめたので、大人にも子どもにもおすすめよん。
コメント