攻殻機動隊は1980年代に、ヤングマガジンに描かれた漫画です。
当時わたくしは20代前半でございまして、リアルタイムでは読んでなかったんですが、その後「アップルシード」経由で読むようになり、まーあなた。
ハマッたハマッた(笑)
本当に夢中で読んだわ~。
そう、わたくしはウザい原作ファンなのです。なので最初に「攻殻が舞台になる!」と聞いた時は鼻で笑ったのよね~実は。
あの世界観が生身の人間で表現できるわけないじゃんと。
しかし舞台でありながら3Dマッピングを利用する、などと聞いているうちに、これはやはり観ておかないといけないかしらと思うようになり、行ってきたというわけです。
世界観は映画の「ARISE」が元で、TVシリーズや押井守氏の映画とは全く別物。もちろん、原作とも。
私はARISEの世界観があまり好きではなかったんだけど、攻殻の名前がつくものは一通り観ているので、用語やらは分かるんだけど・・・
これ、原作知らない人が観たら、まず用語が分かんないよね~(笑)
電脳とか、義体化(に、対しての「生」の意味)とか、ゴーストラインまで入ってくるとか、枝が付くとか・・・この舞台で初めて聞いても分かるのかな?というのがまずちょっと思ったこと。
役者さんのファンで、世界観を全く知らない人も観に来てるでしょうから、そのへんどうなのかなーと。
ストーリーやら人物造形は色々思うところがありますけど、新しい試みとして、なかなか良かったと思う。全員が3Dメガネをかけなきゃならない舞台、というのも面白いよね。
しかも荒巻課長が開演前に指令っぽく、メガネをかけるのを促してくれるし。あれは楽しかった(笑)
空間に浮き上がるデータなどの3Dビジョンは、アニメの攻殻のイメージそのままだったし、実物では表現できない光学迷彩や、ロジコマが背景に溶け込んでる表現なんかは、なるほど、って感じで楽しみました。
残念だったのは、場面展開が忙しすぎて、時系列や人物関係が混乱したところ。
攻殻を見慣れてると、目を盗んで記憶を書き換えられた、ってことが分かるけど、それも過去と現在を行ったり来たりするんで、観てる方が置いてきぼりになった感じは否めませんでしたね~。
あとは、役者さんたちはもちろん頑張ってたんですが、素子の「人間ではない感じ」が、どうしても生身では表現できないよねーと実感しちゃったかな。
格闘のとんでもないスピード感とか、義体で闘うからインパクトに重さがある点とかは、華奢な役者さんではやはり無理があるよね。
個人的に素子の動きは、上へ上へ跳躍するのがキモだと思っているので、そこもちょっとな~って。
原作ファンでなければまた違った印象もあったんでしょうけど、用語や世界観などを知ってるのが前提、みたいな作りだったんで、そのへんが中途半端な印象でした。
しかし私はなんでこんなに攻殻好きなのかしら(笑)
なんかね、人が自分の存在を認識するためには、思いがけないほどたくさんの条件がいるでしょう。他人が自分を見たり、話しかけたり、自分の話に反応したり。自分の手が、意思通りに動くのを確認したり。
そういうのがないと、自分っているのかどうか分からない。なのに、自分が「自分である」と確信するためには、自分の意識だけでいい。
このアンビバレントが面白い、ということに、気付かせてくれたのが攻殻機動隊のお話だったのよね~。
身体の部品が全部作り物になろうと、脳が電子部品になろうと、自分の魂があると認識できる以上、自分は「ヒト」。
なんだかそんなことを考えてしまうから、好きなのかなって思ってます。
舞台も3Dマッピングは面白かったし、攻殻の世界と3Dは相性がとても良いと感じるので、次があればまた行ってみたいと思います。
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