あれよあれよという間に、待機室から分娩室に移動することになった41歳初産のまみろう。
点滴スタンドを引きながら分娩室へ。途中、産まれたての、よそのお子を見て喜んでいた母と目が合います。
「分娩室だって」
目を丸くする母。
「もう?!」
そうなのよお母さん。あんた、今来たとこだけどね(汗)
慌てて夫に電話しに行こうとするも母、
「どうしよう!メモ帳忘れてきちゃった!電話番号わかんない!(パニック)」
落ち着け母!!(こっちは陣痛中)
私のケータイは看護士さんに預けてあるので、母に渡してくれるように頼みました。
分娩室に移動している間にも、陣痛はきます。
「うう・・いてて・・」
「いいよ~、ゆっくり。おさまったら移動しよう」
待機室から分娩室まで、ほんの数歩の距離。なのに、全然進めません。
助産師さんに導かれながら、なんとか分娩台によじ登る私。
「さ、まみろうさん。横向きになってここを掴んでね。陣痛きたら、いきんでいいよ!」
分娩台の、掴まるハンドルのようなものにしがみつく。腹につけた機械からは、腹の子の心音らしき音がどこどこドコドコ流れています。
うううー、きましたよ!!
「ふんむーっ!!」
いきみます。
「ううう~っ、うおおを!!!!!(咆哮)」
「はいっ、声は出さない!!息継ぎをしっかり!!」
そんなこと言われても!!どうしても、奥歯を噛み締めたその奥から、声が出てしまう!!
いつのまにか助産師さんや看護師さんがまわりに何人も。
「さ、仰向けになって!!いよいよ会えるからね!!」
不思議なのは、いよいよ分娩が始まると、痛みなんてあんまり感じないんですよ。
いや、痛いけど、じっくりと痛いわけではないっつうか。激痛だけど間隔が短くなってきて、無痛の時はほんとうに全く無痛。激痛と無痛が瞬時に入れ替わっていき、どうにかこの大仕事を終わらせなくてはならん!という気に。
分娩担当の、女医先生も元気付けてくれます。
「はいっ、そうそう。上手、じょうず!よしっもう少し!」
わたくしの子は、もー頭がちょこっと見えている状態で、なぜか出たり入ったりしてました。
なんか私の骨が、ぴょこんと出ているところがあるそうで、それが邪魔だったらしい。
分娩にあまり時間がかかると、子供の心拍数が落ちてしまいます!
「うーん、押してみるか」
そういうと、女医先生はわたくしのお腹の上へ。
「まみろうさん押すよ。はいっ、それっ!」
私のいきみに合わせて、お腹をぐいぐい押しまくる女医先生。
ええっ、押すの?!
と思いながらも、そんなツッこみを繰り出す余裕など当然なく、ただただされるがままの私。
「婦長代わって!」
女医先生はひらりとわたくしの足元へ。ささっと注射器を用意していたようでした。
先生と変わった婦長さんは結構な重量級のお方。私に馬乗りになり、お腹を押す押す!!
「さぁ~まみろうさん、頑張って!!ほれ、もう少し!!」
陣痛のタイミングに合わせて、お腹の上の方を結構な力でぐぐっと押されます。
うう~!ぐっっ苦しいっ!!!
「よし、次で出すよ!!吸ってー、吐いてー、吸ってー・・・はいっ!!」
「ん゛ーーーーーーー!!!むぎー」
もう、人間の声なんかぢゃありませんよ。隣の分娩台(と言っても結構離れてるけど)でも、叫び声が上がってます。まさに阿鼻叫喚のなか、
「・・・あ、もういいよ」
婦長さんにあっけなくそう言われ、自分の股間を見てみると。
「おおおおー!!!」
血と、なんかぬらぬらにまみれた我が子が!!
「きゃーーーー!!やったーーーー!!」(感動)
生まれたての我が子を裸の胸の上に乗せてもらい、重みとぬくもりをじかに感じます。
「おぉ~すげー!ちゃんと人間が入ってたよ!!」
お手々やあんよの指などを、しみじみ眺めてしまいましたね。
「それにしても・・・宇宙人みたい」
ってのが、最初の感想でしたねぇ(笑)
生まれたての赤ん坊って、色んな部品がきれぇ~にこんぱくと~に収納されてて、つるりぬるりとしてる。
まつげも全く表面に出てないし、耳も見事に頭にそってはりついてました。
あちこちにグリースのようなクリーム状のものや、血の塊とか。
後で知りましたが、グリース状のものは「胎脂」というんだそうですね。胎児の皮膚を守り、感染を防いだりするために張り付いているんだそうです。
「しばらく横になっててね。夕方、4時くらいになったら起き上がってもいいよ」
そういわれ、車椅子で病室へ移動。
ベッドに横になりつつ、夫を待ちます。
夫は仕事を早退して、駆けつけましたが分娩にはとても間に合いませんでした。緊張してお腹が痛くなっちゃったんだよ~って、何してんのよ(笑)
夕方になって新生児室へ。授乳の時間だったので、我が子を廊下へ出してもらい、母と、夫と対面。
「おおおおお~かわいい~」
大喜びの夫。人目が無かったら、泣いていたにちがいない。
母は人目があっても泣いてたし。呑気に来たくせに(笑)
分娩の夜は、興奮して眠れないだろうからと、安定剤をもらいました。でも3時間しか寝られなかったっけな~。
結局、高齢であることが原因で困ったことは、何もありませんでした。私はラッキーだったのかも知れないけど、若くて産んでも、何人産んでても、出産が大仕事であることは変わりないしね。
妊娠も出産も、面白いです。体重が戻らなかったりするけどね(笑)
コメント
まみろうさん、ホント安産だったんですねー。
お母さんの慌てっぷりが笑えます。カワイー。
うちの母も長女のときは張り切ってついてきて、予定日大分過ぎてたので誘発のために入院させられたんですが、全く陣痛こないのに「まだ?つらい?大丈夫?」なんておろおろしてて、イライラしましたよ。
結局誘発には全く反応せず、一旦帰宅したら自然に産気づいてとっとと産まれたんですが、無事に娘が出てきてドクターが
「おめでとうございまーす」
と言った瞬間に
「ばばーん!」と分娩室の扉が全開に!
そこには両目をうるうるさせて母が立ってました。
もちろん、看護婦さんに両脇を抱えられて退場(恥)
たった50センチくらいの物体なのに、人間が一人増えるって、大変な出来事だなー、と。
>ぷこさん
はい、担当のお医者様が拍子抜けするくらい、安産でしたね~(笑)つくづく、土壇場に強いというか。
ぷこさんのお母さまサイコー!(笑)うちの母でも、分娩室の扉は開けませんでしたよ!!よほど嬉しかったんですねぇ。看護婦さんたちも、さぞ色んな方を見てるんでしょうね!
私が出産した病院の助産師さんは、「毎日何人もの赤ちゃんが産まれるのを見てるけど、慣れるってことはないわね。その都度やはり、感動しますよ」っておっしゃってました。子供を産むことができて良かった、と本当に思いましたね~。
コメントありがとうございます。