やっと書ける、感想(笑)
東京国際フォーラムで上演中のミュージカル・ゴシック「ポーの一族」を観てきました。
大阪で開幕したこの作品、私の愛する小西遼生さんが出演されておりまして。
例年なら何をどうしてもせめて初日には!!行くところなんですが・・・
世界を席巻する感染症のおかげで、今回は遠征を断念。ううう。コビットめ許さん。
と、いうわけで東京公演が始まるまで大人しく待っておりました。
嬉しいことにライブ配信もありましたしね!
で、迎えた東京公演初日。
ポーの一族はS席が本当に、笑っちゃうくらい取れなくて。
結局3階A席で観たんですが・・・
これ、最前列で観てる人、心臓大丈夫??
って思っちゃうくらい「美」の圧が凄かった、いやマジで。
年老いた我が身としては
「3階で良かった、命拾いした ふーーー」
てなもんですよ。
出演者のビジュアルが美しいのは言うに及ばず
所作がキレイ衣装がキレイセットがキレイコーラスがキレイ照明がキレイ!!
キレイの津波が襲ってくるタスケテ!!
いやいっそ身を投げたいこの波に!!ザパーン
宝塚の生舞台は未経験なわたくし(WOWOW放送で視聴はありますが)。
ヅカヲタの皆様すごいね。あの美の暴風にずーっと耐えてる(?)んでしょう?
大丈夫ですか、市井に暮らして現実の醜悪さに絶望したりしませんか(いらん心配
ストーリーと感想
さて、それではネタバレ気にせず感想をドンドコいきます。
プロローグ、空港で待ち合わせるマルグリット・ヘッセン(能條愛未さん。ジェインと二役。芝居が巧い!)とドン・マーシャル(武藤寛さん)。
(原作では結婚しますねこの2人。そしてエドガーに燃やされそうになるw)。
おふたりはこの劇中では、あくまでもナレーター的立場。
もう一人、バイク・ブラウンの子孫(丸山泰右さん。出番も多く大活躍!)と共に、それぞれが知っている情報をやり取りする形で進行していきます。
この工夫で、大河ロマンともいうべき「ポーの一族」の序盤が分かりやすくなってました。
ドン・マーシャルの「彼は自ら名乗っている・・・ポーの一族と!」に続けてオープニング。
この時のティンパニと雷鳴みたいなギターが!
めっちゃツボ!
そして舞台中央、くるりと正面を向くエドガー(明日海りおさん)に向けられる拍手の大きさよ。
も~、凄かった。地鳴りみたいだったわ。
ドラマチックな旋律に乗せて舞い踊る皆様が美しすぎて多少窒息気味に(もう?
明日海りおさんの宝塚版「ポーの一族」は、アマプラのレンタルで観たんですけども、その時より一層ほっそりされているような?
お顔に一切、デッサンの狂いがない・・・てかこの舞台、そんな人ばっかり ←
エドガーとメリーベル(綺咲愛里さん)は森に捨てられ、老ハンナ・ポー(涼風真世さん。超絶カッコいい!)の館で暮らすことに。
すくすくと育つエドガーの前に絶世の美女・シーラ(夢咲ねねさん)が現れ、ポーツネル男爵(小西遼生さん)と結婚すると聞く。
ここね~、シーラがあそこまで美しくなければ。エドガーも婚約式を覗きに行ったりしなかったと思うのよ。神々しいほどの美しさ・・・マジ罪作り
私も覗きに行くよきっと、フランクとシーラの婚約式とか絶対に見たいじゃんね!
婚約式の遼生さんがどれほど美しいかは筆舌に尽くしがたい。配信で観てて登場時「ヒェッ」て声を漏らしたよあたしゃ。
東京初日には初見じゃないから大丈夫と思ったのに、双眼鏡で覗いてて「ヒィッ」てなって全ッ然だいじょうぶじゃなかったw
お姿の良さは元々だけど、加えてポーでは所作が!
すんごいすみずみまで美しい!指先まで神経が行き届いてる・・・!
罪作りなねねシーラの美しさ(ウエディングドレス姿がこれまた美のメガ盛り)と並んでマジ人外の眺め。
婚約式肖像画ブロマイドとか作りませんか梅芸さん。できればA4かB4サイズで。もっと大きく額縁入りでも(いくらになるんだ
遼生さんフランク、最初は「なんでこんなに力んで話してるんだろ」って思ったんですよ。だが観てるうちにだんだんクセになりますw
このお芝居、美少年好青年はたくさん出てきますが、危険な香りの男盛りは遼生さんひとり(言い切った
なので、そのポジションを一手に引き受けた、そのための役作りと理解しました。異論は認めるが聞かない。
初回、配信で観た時にちょっと驚いたのが、かなりのセリフや歌詞が、原作のことばから作られてること。
♪天国の~となりか~地獄の~むーかい~
とか
「目がさめたね 愛するきみ」
とか
♪のどもとから ゆびさきから ゆうるりと ゆうるりと
♪血が欲しい ほしい 命のかて あの色はどうだ ぞくっとする
アランが唱える聖書のことばも
♪もろもろの天は神の栄光をあらわし 願わくはわれを隠れたる咎より 願わくは
歌になってましたね~。
その設定や背景もだけど、言葉が美しいのも原作の魅力。こういうところも、原作に対するリスペクトが強く感じられてなんだか嬉しいです!
婚約式を覗いたことがきっかけで、エドガーは自分がポーの後継者として育てられていたことを知る。
大人になってから大老ポーの血を受け継ぐはずだったのに、村人たちの襲撃を受け、少年のままバンパネラにされてしまう。
ここね、老ハンナ・ポーが杭を打たれ塵と消えたことでバンパネラと分かっちゃう。んだけどさ、杭を打ったら普通の人も死ぬよ??
消えなかったらどうするつもりだったんだ村の衆w
まぁ、中世の魔女裁判では、ひと晩井戸に沈めて死ねば魔女でない証明になり、生きていれば魔女と確定して火あぶり、なんてことがあったそうなので(ヒドイ)こんなこともあり得たのかも。
バンパネラになっても吸血を拒絶し続けてたエドガー。しかし欲求に耐えかねて、市場で花売り娘を襲っちゃう。
んですがこの花売り娘役の女優さん(田中なずなさん)はチビっ子エドガー役もされていて、それがちょっと面白かった(笑)
そして最初の吸血後の曲「エドガーの狂気」これのダンスが!
すごく好き!!
数人の男性キャストがエドガーの影としてコンテンポラリー的なダンスを踊るんですが、残像のようにストップしていくイントロからもう釘付け。
すごい激しいダンスなんですよね~。アンサンブルさんたちって本当にスーパーマンだと思う。尊敬。
何も知らないメリーベルは元の世界へ、と余所へやったのに結局会いに行っちゃうエドガー。
ちょうどその頃メリーベルも恋した相手に死なれてしまっていて、お兄様についていく!となってバンパネラに。
メリーベルは幼女の時と、少女になってからの雰囲気がかなり違う。
大人になりかけの色香もあり、儚げで庇護欲をかき立てられますね。気の失い方もいちいちキレイよ!
出会った人すべてを魅了してやまないメリーベルなのに、自分を真に愛してくれてるのは兄様だけ、っていうのがまたもの悲しい。
ところで原作の話だけど、エドガーが仲間に加えるとなぜか弱い個体になってしまう、というのがありましてね。
メリーベルしかり、アランも湿気に弱かったり、すぐ眠くなっちゃったりと弱い。
本人は大老ポーに直接エナジーをもらった、かなり強い個体なのに。
エドガーは望んでバンパネラになっていないし、メリーベルとアランは絶望から仲間になってるでしょ。
シーラのように、希望をもって一族に加わったわけではないから弱いのかな?
なんて思ったりしてみたわ。
そんなこんなで4人家族として時を超えて生きるポーツネル男爵家は、振興の港町のホテル、ブラックプールへ。
ホテルへの登場時がまた美しいのよ~ポーツネル一家。
エドガーのお洋服が特徴的で映画「ベニスに死す」のビヨルン・アンドレセンを思い出します。
そのホテルにある診療所の医師・クリフォード(中村橋之助さん)は、恩師の娘であるジェインと婚約中。
でもホテルに現れたシーラをひと目見て虜になっちゃう。うん、ムリもない。
シーラもターゲットとしてクリフォードをロックオン、この時のねねちゃんのお顔!
ただ気のある様子、というのとはちょっと違う、捕食者としての獰猛さも感じる表情がたまらん。
その様子を横目に見てる遼生フランクの表情も意味ありげですごくイイ。ここ大好きです!
同じ頃、バイク・ブラウン(ご先祖の方よ)と共に、ホテルに到着したのは霊能者マダム・ブラバッキー(涼風真世さんの二役。強烈w)とオルコット大佐(福井晶一さんの二役。こちらはお茶目)。
そしてそして、ついにアラン・トワイライト(千葉雄大さん)が登場!エドガーと出会います。
橋之助さんもだけど、プロローグから出てくるまで長いよ!(笑)
さてクリフォードのモテモテリア充ライフと、威張り散らしてるけど実は孤独で愛に飢えてるアランの家庭環境描写の後、エドガーとアランは急接近。
原作のクリフォードは自分からあっちこっちへちょっかい出してるプレイボーイだけど、橋之助さんのクリフォードは言い寄ってこられるから適度につまみ食いしてるって感じなのがいいですね。
ジェインのこともちゃんと愛してるし。
橋之助さん、お歌はもう少し頑張って~と思うけど、芝居は巧いし、何より「粋な遊び方を知らない、本来は実直な人」って人物造形で、クリフォードがそこまでイヤな人に見えないのがいい。
そうでないと、ジェインと一緒に一族に加えようとは思えないもんね。
千葉さんアランはもうとにかく可愛い。なんなのあの30代。永遠の美少年ですか?
そして声の響きがいい。
お歌の技術は磨けるものだと思うけど、持って生まれた「声」はそうそう変えられないから、いい声なのは好印象ですよね。
「ごめんこうむる!」の響きの良さよ・・・!
白バラを執事に差し出す時の「生けておくれ」の言い方も好きなんですよ私。
配信で観た時より、東京初日のお歌はずっと安定してました。もともと芝居は巧い人だし、この短期間にどんどんアゲてきてるのは本当にすごいと思う。
まだまだ公演も続くし、今後ミュージカルでも活躍の場を広げてくれるといいですね。
お互いの芯にある寂しさを感じて共鳴しあうアランとエドガー、で一幕は終了。
この時、これまでのことがダイジェストのように回り舞台で繰り広げられるのがとても好き~!
ここ、なんとなく「ガラスの仮面」の初演の演出を思い出しました。
役者さんたちがポーズを取ったまま動かず、オブジェのように舞台機構が動くまま流れていったんですよね。
生身の人たちがそこにいるのに映像的。そしてとても美しい。
沈んだ色合いの豪華なセットいっぱいにキャストさんが揃って歌う「愛のない世界」は荘厳ともいえる響き。夢見心地のまま休憩に突入できますわ!
・・・お手洗いに向かってダッシュする人の波で瞬時に現実に引き戻されるけどw
二幕はじめの、ジェインとクリフォードの婚約式がまた豪華。優雅に踊りつつ、それぞれの思惑が現れてる表情が楽しい~
マダム・ブラバッキーは「了解」をなぜかお腹を叩いて表現w
婚約式の時、マダムが降霊会のデモンストレーションをやってる中で、ぬかりなくクリフォードに誘いをかけるシーラと、それを「しめしめ」と「…チッ」が混じったような顔して目をそらすフランク。
ここもツボですw
行きがかり上マダムの降霊会に参加することにした男爵夫妻はついでに(?)大老ポーにお伺いをたてる。
家族を増やす了承を得て、いよいよ本格的にクリフォードとジェインを仲間に加えようとする夫妻。
しかしその気配を感じたのかなんなのか、マダムはクリフォードとバイクに吸血鬼を討てる銀の弾丸とピストルをくれる。
男爵夫妻が着々と計画を進める中、メリーベルに新しい血を与えたいエドガーは、アランを襲う。しかし聖書のことばで撃退されちゃう。
逃げ帰ってきて「ばれた!」ってテンパるエドガーに、「うろたえるな大丈夫、我々は異端だからこそお互いに愛が必要」って言い聞かせる男爵夫妻。
やっとエドガーの反抗期が終わって、穏やかなバンパネラ家族の生活が始まる──
は ず は な く 。
いよいよクリフォードを狩りに出かけるシーラ。
降霊会で大老ポーに「岬の小屋には近づくな」ってやけに具体的な注意を受けたのに行っちゃうのよね~。
この時の誘いかける表情も動きも思わせぶりったらない。
ヤバい。ヤバいです、ねね様(ついに様呼びに
あれではひとたまりもない、はずなのにクリフォードったら職業病か、脈がないことに気づいちゃう。
ぶ、無粋なヤツめ!!
気づかれた!って一度ひるむも、ふたたび誘いかけようと「クリフォード・・・」って呼びかけるシーラの妖しさときたら!!
いいから黙って血ィ吸われとけや!!と双眼鏡をギリギリ握りしめて観てましたが結末が変わるはずもなく。
シーラはざっくり、農具フォークで刺されちゃう。
この時の悲鳴が「キャー」でなく魔物っぽい「ギャアァ」なのが好き。ずっと作り物みたいにキレイなシーラが、生き物としてむき出しになる一瞬。
一方、メリーベルはジェインと一緒にいるところにクリフォードが来て、銀の弾丸で撃たれる。
この時も倒れ方がものすごいキレイ!
(メリーベルだけは塵にならずクラシックな装いの男性にリフトされて去る。のはセットの関係ですかね?
メリーベルを消滅させたクリフォードをエドガーが撃つ、このシーンが私には劇中で一番キツいです。
「なんのために生きてそこにいる?」
クリフォードの問いは異端に向けられているようだけど、実はヒトだって他の生命体から見たら同じようなもの。
生命維持の必要量以上に他の命を取り込み、木々を草原を海を破壊して生き続けてる。
望まずに異端になったエドガーにその問いは重くもあり、虚しくもあります。
クリフォードが死んだことを知らない男爵夫妻は、なんとかこの場を去ろうと急ぐ。
しかし瀕死の夫人を誰にも診せずに立ち去ろうとするので、皆が不審と心配でいっぱいに。
ついにバイクが「バンパネラでは?」と問いただし、夫妻を足止めしようとする。
ここ、全編通して威厳と礼儀ある貴族らしい態度でいた遼生さんフランクが、余裕を無くしていくのがヒリヒリします。
それにしてもなっがいドラキュラマント・・・すごいステキ・・・
(マントやコートの長いのは上背があるだけでなく、頭身が重要よね)
シーラもフランクも、銀の弾丸をこめた銃でバイクに撃たれて消滅。
このシーラ消滅シーンで初めて、フランクが表情を崩すのです!シーラを失うことを何より恐れていたのねフランク・・・うう・・・
塵と消える瞬間まで美しい男爵夫妻、本当にステキでした。
いっそこのお二人でスピンオフ作品を作って欲しい。シーラとフランクの出会いから駆け落ちまで。
どうですか(どうって
そのころアランは、唯一の心の支えだったママン・レイチェル(純矢ちとせさん)が叔父と通じていたことにショックを受け、叔父と階段でもみあい、落としてしまう。
動揺するアランにレイチェルは手を差し伸べるでもなく去って行く。
てかアランママ、原作と違ってあまりにも冷たくない??
叔父さんは怪我をしただけで命に別状はなかったけど、レイチェルに見捨てられたと感じた時点でもう、アランは人として生きることに見切りをつけたのでしょうね。
迎えにきたエドガーについていくと決め、アランもバンパネラに。
配信で観た時は感じなかったけど、このシーン、セットのかなり高い位置で演じてるし、けっこうなスピードで動いてるんで、つい「怖くないのかな」などと考えてしまいましたわ。
そういや、エドガーがアランに近づくため、学校へ行って学生たちと喧嘩になるシーン、明日海さんが胴上げされるのもヒヤヒヤするw
時は移りマルグリットの甥、ルイスの学校に現れたふたり。ポール・アンカの話をしてるから1950年代後半かな?
ホテルブラックプールの出来事が1879年と言ってるから、70~80年後ね。
「自信満々でとっつき悪い」ふたり、エドガーとアランは美少年のままそこにいるのでした───。
主要キャストはもちろん、アンサンブルさんたちもソロパートがある人が多くて皆さん美声。
ダンスもバレエをはじめコンテンポラリー、アイドルっぽいダンスとさまざま。
よくもまぁこんなに色んな要素を詰め込んでかつ、世界観も壊さず構築させたものです!
いつどんな時に観ても楽しかったと思うけど、2020年からの状況で、こんなに豪華絢爛な舞台を楽しめたのは本当に嬉しい!
あまり劇場へは通えないのが寂しい~しかし配信とライピュがあるし、DVDの発売も決まってるのでまだまだ楽しめそうです♪
は~次回が楽しみだなぁ
コメント