大大大好きな大竹しのぶさんと段田安則さんが出演、そしてケラさん演出。
観に行かないという選択肢がなかった(笑)
期待通り面白かったです!
「LIFE LIFE LIFE~人生の3つのバージョン~」
なんともいえず可笑しい、2組の夫婦のやりとり
出演は前述のおふたりと、稲垣吾郎さん・ともさかりえさん。
吾郎さんを舞台で観るのは「No.9」ぶりかな。ともさかさんは初めてでした。
観た後、すぐの感想はもう
「面白かったー!」
に尽きます。さすがというかなんというか、チクチクとトゲを感じつつも笑い、観劇後はさわやか。
とても良いお芝居でした♪
シアターコクーンの空間のど真ん中、一番低いところにステージがあり、すり鉢状に客席が並ぶ。
ほぼ正方形のセットのこれまた真ん中に盆。
私のお席は特設ステージ席というやつで、まるっきりセットと隣接してました(゚∀゚)
椅子は特設だからフツーの椅子で、観に行った日は昼間レミゼを観てたんで背中が痛くなるかも・・・と思いましたが観劇中は全くそんなこと忘れてた、芝居が面白くて。
あらすじはこんな感じ
夜も遅いというのに子どもが寝付かず、夫婦はちょっと不穏な空気。そこへ突然、玄関の呼び鈴が鳴る。
訪問者はアンリの上司、ユベール(段田安則さん)とイネス(大竹しのぶさん)のフィニドリィ夫妻。
翌日のディナーに招待したはずが、なぜか1日早く来訪した上司夫妻に、アンリとソニアは大慌て。
研究者としてなかなか成果をあげられずにいるアンリにとって、この上司との夕食会は大切なものになるはずで、万全の体制でお迎えするつもりだった。
それなのにソニアはガウン姿、食事の準備は全くされておらず、出せるものといえばワインとスナック菓子、キューブチーズくらいのもの。
しかし追い返すわけにもいかず、最悪の状態で上司夫妻を招き入れ─────
最低、最悪のパターンから、少しずつ変化していく
あらすじの部分から先を、3パターンやるんですがね。
一番最初のバージョンが、最悪なんですよ(笑)
子どもをなんとか寝かしつけようとしてるけど、寝なくて困った~ってなってるアンリとソニア。
アンリの家に着く前に、不毛なパンスト論争をしているユベールとイネス。
それぞれ夫婦間があまり良くなさそう・・・と感じさせておいて始まる第一のバージョンは、どの人も最悪でもう、ほとんどコントみたい。
特に段田さん演じるユベールは、専業主婦のイネスを徹底的にバカにしてるし、尊大だし。
登場からほんのちょっとの間で、観客のほとんどを敵に回したんじゃないかと感じるくらいのオヤジで、彼が何か言ったりやったりするたびに
「ああ~いるわこういうオヤジ、うちの会社にも」
みたいな気持ちになる(笑)
しのぶさん演じるイネスは、最初あまりにぞんざいに扱われてて可哀想になるんだけど、途中酔っ払ってからは
「あ~いるわこういうオバチャン」
って感じで全く同情されない人に(笑)
吾郎さん演じるアンリは全然頼りにならない、仕事もイマイチな感じの旦那さまで、ともさかさん演じるソニアが苛立つのがすっごい分かる。
でもソニアもイライラしすぎと感じるのがまた、うまいというか。
単純にパターン違いかと思いきや・・・
そして最低最悪のパターンから、ちょっと変化する2バージョンめ、3バージョンめ。
起きていることは同じでも、いなし方、受け取り方、切り返しが違うと進んでいく方向も変わる。
という話かな・・・と思って観てると、
「えっ?!そうなの??」
という状況が現れたり。
たとえば2パターンめ、ソニアはイライラしてなくて、アンリを大切に思ってる奥さんなのね~と思ってたら、実はユベールと浮気してるぽい(゚∀゚)
3つの中では唯一、穏便に終わる3つめのバージョンでは、ユベールがソニアに言い寄ってる(笑)
アンリは躁鬱の気がある感じになってて、前の2つと違って研究の成果もイイ線行きそう・・・
だけど、そこをもう一押しするために、ソニアはユベールの口説きに応じるかも?とも感じる。
一筋縄ではいかない感じはフランス的でもあるけど、不思議なことに日本人の私が観ても遠い国の話とは感じないのよねこれが。
特に、イネスの扱われ方や振る舞いには、時に胸の痛みも感じる。
高名な夫をもつ、専業主婦のイネスは夫にバカにされるし、バリキャリのソニアにもなんとなーく距離をおかれてる感じ。
教養もあり、子どもたちを育て上げてきた自負もあるブルジョアなのに、尊重されない彼女の姿に同情を感じる場面がしばしばありました。
観るものを微妙な気持ちにさせる言葉のやりとり、なのに爆笑しちゃう
最初は2組の夫婦、つまり2対2のやりとりを観ているはずだったのに、最終的には4人それぞれの人生観やら子育て論やらキャリアがどんどん顕わになっていくのが、本当に面白かった。
「そこまで言うか!」
と感じるほどの罵倒、言い合いが起きてるのに、腹を抱えて笑ってしまうのは、作品が素晴らしいのはもちろん、演出の妙と役者さんの力量でしょうねぇ。
あんな言い争いをしてても爆笑できるなんて信じられない。でも面白かったし、スッキリする終わり方でもないのに、なんか痛快だった。
あの中に自分が存在したら誰にあたるのかしら。年代的にも、立場的にもイネスに近いはずだけど、なんとなくユベールかもしれないと思ったり。
夫婦間の微妙な愛憎の加減って、端から見ると理解しがたいけど、自分たちの間ではごく自然に成り立ってたりして。
あらゆる人間関係の中で、不可解なのに「わかるわかる」ともなる、夫婦って面白い関係だよね。
すごく面白かった、良いお芝居でした!
これを書いた作者、ヤスミナ・レザさんの戯曲「大人は、かく戦えり」は上演されたとき、見逃しちゃったんだよね。
絶対おもしろかったよね~ああ観たかったなぁ。
そちらも2組の夫婦のお話だそうで、ジョディ・フォスターとケイト・ウィンスレット出演で「おとなのけんか」という映画にもなってるのね。
再演を期待しつつ、映画を観ておこうかな。
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