日生劇場で公演中のミュージカル「フランケンシュタイン」を観てきました。
韓国で作られたこのミュージカル、初演・再演ともに、かなりの人気でロングランされていたそうですね~。
日本版上演が決定、しかも私の愛する小西遼生さん(もはや おなじみのフレーズ)が出演されると発表されて以来、楽しみにしておりました!
韓国ミュージカルって、私の中では荒唐無稽というか、自由な発想の作品作りが多いイメージがあってね。題材はゴシックなものなのに、解釈はかなり独創的だなって。
今回は1800年代のゴシックホラー、フランケンシュタインが題材だけど、韓国版のあらすじを読んだり動画を観たりしても、一筋縄ではいかなそう。
ビジュアルの作りこみは文句なしみたいだし、お歌も期待できそうだし!と思っていたらあなた、
予想以上でした・・・(°言° )いろんな意味で
ミュージカルのあらすじはね、予想通り原作とはだいぶ違う。ここから両方のあらすじを書きますよ。
原作にしても舞台版にしても、あらすじを知りたくない!という方はご注意くださいまし。
↓↓↓↓↓ ここから 原作の話 ↓↓↓↓↓
原作ではビクター・フランケンシュタインには姉はいないし、父親は政治家。カトリーヌ(同じ綴りでカロリーヌとも読む)は母親の名前。
原作のビクターはいいとこの坊ちゃんで、天才的な頭脳はあるけど別にコミュ障じゃないし、地域の人々に忌み嫌われてもいない。
ヘンリー(同じ綴りでアンリとも)は秀才の友だち。ビクターは自らの興味から、オカルト的な世界と科学理論の融合に目覚め、遺体を縫い合わせて人を作る研究を始める、という流れ。
死体を継ぎ合わせて作ったヒトガタに電流で命を吹き込むことに成功するも、その異形さに慄き、処分しようとする。
・・・余談だけどさ、原作のこの部分の描写、私かなり好きなのね。
フランケンシュタインは怪物を作るにあたって、均整のとれた四肢と、美しい容貌の頭を選んでたの。長くつややかな黒髪、真珠のように白い歯、薄い茶の瞳。
でも生命を与えられた怪物は、パーツは美しいもののはずなのに、皮膚は黄色くくすみ、唇は黒く引き結ばれて、この世のものではない醜さだった、という描写なのね。
命のない「モノ」の時には美しいパーツの寄せ集めだったものが、命を与えられ動き出したとたん、とてつもなく醜い怪物になる─────
この部分を読むといつも、善意と偽善、誠意とエゴイズムみたいな、ちょっとしたズレから生じるどうしようもない嫌悪感、みたいな感覚がこみあげてきて、えも言われず好きなのです。
・・・うん、わかってる。悪趣味なのよね私。ちょっとね。いやほんとちょっと。
で、怪物が動き出したとたん、嫌悪と恐怖にかられたフランケンシュタインは、怪物を放置して逃げる。
放置された怪物はひとり彷徨いながら知識を身につけ、人間と共存しようとするんだけど、異形の姿のせいで誰も内面をのぞいてくれない。
池でおぼれた子どもを助けようと水に入っても、その外見から子どもを溺れさせ殺したと誤解され銃で撃たれてしまうし、目の見えない老人には紳士的に近づきになろうとするのに、老人の家族は問答無用で怪物から逃げ出す。
どうしようもない孤独と怒りに苛まれた怪物は、偶然出会ったビクターの弟を殺し、その行為がビクターを苦しめることに気づき狂喜する。やがてビクターの前に現れた怪物は、ビクターに自分と同じ怪物をもう一体作れという。
女の怪物を作ってくれたら、人の目につかないところで穏やかに暮らす、という怪物の願いを最終的に退けたビクターは、愛しい人々を次々に失うことになる。
そして北極へ向かう怪物を追っていたビクターは、途中で息絶え、この物語はビクターを流氷から救った船乗りが、姉に書いた手紙の中で語られる。
↑↑↑↑↑ ここまで 原作の話 ↑↑↑↑↑
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↓↓↓↓↓ ここから ミュージカルの話 ↓↓↓↓↓
一方、ミュージカルのほうはビクターもアンリも軍に所属しており、ビクターの方は、軍から出資を受けて、亡くなった兵士の再生を研究している。
アンリは軍医で、敵兵を助けようとしたのを咎められて銃殺されそうになる。そこをビクターに助けられ、ともに研究をすることになるんだけど、戦争は終わりビクターは出資者を失う。
アンリとビクターは、ビクターの故郷であるジュネーブに帰るが、故郷の人々はビクターを忌み嫌っている様子。アンリはその理由をビクターの姉、エレンから聞き、彼の幼少期の事件のことを知る。
幼少期、疫病で母親を亡くしたビクターは、死体を生き返らせる研究に没頭。幼馴染?いとこ?のジュリアが可愛がっていた犬が死んだとき、生き返らせることに成功していた。
その行為に惧れを抱いた民衆は、ビクターを魔女と断罪し処刑しようとする。その動乱の中で父親も死に、姉のエレンとともに残されたビクターは「呪われた子」として人々から忌まれていた。
戦争が終わり退役したビクターは故郷に戻り、アンリと、執事のルンゲと共に研究を続けているが、必要な材料が手に入らない。
その材料をめぐった事件の罪をかぶって、アンリは処刑されてしまう。
ビクターはアンリのためにも、自らの研究のためにもと、アンリの首を使って命を創造する。しかし蘇生したのはアンリではなく、まったく別の生き物である怪物だった。
処分されそうになり逃げだした怪物は、人間たちの欲望や憎しみに翻弄されるうちに、自分を創ったビクターを激しく憎み、復讐を誓う。
やがて北極(なのか、北極に近いどこかなのかは不明)で怪物に追いつくビクター。怪物はビクターに自分を殺させる。
怪物の復讐は、自分が味わった底のない孤独を、ビクターに与えることだった。
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肝心なところをだいぶ端折っております・・・だってミュージカルみて欲しいんだもん・・・。あらすじにはあまり、惹かれないと思うのよねこの話。細かい描写とかないし。
でも激情に次ぐ激情、そしてむっっずかしい曲を熱唱に次ぐ熱唱で、まーあなた、お腹いっぱいになるったらないのです!!
さらに物語の要である創造主ビクターと、その友人で自ら犠牲になるアンリがWキャスト。
さらにさらに加えて、ほかの主要キャストの皆さんも全員2役を演じる、という鬼畜な演目。ずっしりきます。どっしりきます!
これがリピらずにいられましょうか~ぁあああ!!(叫び声)
役者さんたちが演じる2役がそれぞれ、相反する人物像だったり関係性だったりするのも面白い。
ビクターを理解できないながらも見守り続ける、聖母のような姉・エレンは、2幕では自らの欲望にしか興味がないエヴァに。
濱田めぐみさんが演じてらっしゃいますが、どちらも素晴らしい!お歌はもちろんのこと、目つきや声色まで別人みたいなのがホントすごい。
創造主たるビクターは、2幕では怪物を徹底的にいたぶるジャックに。Wキャストで中川晃教さんと柿澤勇人さんが演じてまして、ビクターとジャックが違うのみならず、お2人の役作りがぜんっぜん違う。
芝居の表現やらせりふ回しやら、どちらが良いかは観る人によって好みがあると思う。私は柿澤くんのほうが好きだなー。今のところ。
まだ開幕して間もないので、この先どうなるかは分かんないけど(笑)
アッキー(中川さん)のビクターは、誰にも理解されない、孤高なビクター像はしっくりくる。でもアンリにも理解されないんじゃないのかな・・・と感じちゃうところがあって。
一方、ジャックは小物感があり、それはそれでいい感じなんだけどね、濱めぐさん演じるエヴァと並ぶと、毒が足りない気がするの。
カッキー(柿澤さん)のビクターは、反抗期の子どもみたいで憎ったらしいけど、愛嬌も多少感じる。
孤独に生きるアンリが憧れるにふさわしい、陽光のような明るさを感じるのね。あれはカッキーがもともと持ってる資質によるものなのかなぁ。
体育会系だもんね、カッキー(笑)
そしてカッキージャックのゲスさったら・・・あなた・・・もう・・・もうね・・・
カッキージャックが小西怪物をいたぶる場面だけのDVDでも、出たら買います
いいの。倒錯者扱いでもかまわない。ヘンタイでもいい。買わせなさい。(真顔)
非力ながら弟をかばい続けるエレン、天才ながら姉に庇護されるビクター、を演じる役者が、何もかも利用し消費しつくす妻エヴァと、実質なんの役にも立ってない夫のジャックという関係性になる構図も、すっごい面白い。
孤独を受け入れ生きたアンリを演じる役者が、耐えがたい孤独から復讐の悪鬼と化す怪物になるし、このへんは考え始めると深い深い沼地に入っていけそう。
やらなきゃいけないことがある時は、考えないことにしてる。止まんないから(笑)
曲は難解すぎて、1回目はただ、ポカーンと聴いてて全然あたまに残らなかった。でも何回か観て聴くと、今度は頭に残って残って出ていかない。韓国ミュージカルはいつもそんな感じだなって思う。ずーっと回ってる、今も
♪ 血は誰かの血 肉は誰かの肉
って回ってるし(°ω° )
歌はもう、皆さん本当に本当に凄いとしか。子役ちゃんたちもアンサンブルさんたちも、本当にうまくてびっくりします。アッキーとか濱めぐさんとか、いつも思うけど 声帯どうなってるんだろうね~。
そして個人的には遼生さんの歌声が、これまでとまた違って美声に磨きがかかったと感じるのが、もう嬉しくてたまらない(狂喜)お姿も美しいけどね!
アンリの軍服もたまらんし、怪物の黒レースのブラ(?)とボロッボロの黒ロングコート姿も倒れそうなくらいカッコいい~
北極まで行ってコートの中ブラ一丁かい!!なんて無粋なこと言わないわ・・・美しいから・・・
・・・でもそのブラ、怪物はどこで手に入れたの?自ら身に着けたの?(結局気になる
あとね、いつもそんな感じといえば、韓国ものってどうしてあんなに畳みかけるように不幸が襲うの?カトリーヌは生い立ちも現状も十分不幸なのに、なんで凌辱までされなきゃいけないの?
そんなお話を喜んで観てるとか、みんなドSなの??
ってブラメリポとシャーロックホームズをさんざんリピったあげく、DVDまで買った私が言うのもなんなんですが。まぁ表現がどぎつくなく品を保ってると感じるのは、日本版ならではなのかなとも思う。
そんなわけでフランケンシュタインに通う日々が始まってしあわせ、って話でした。
ミュージカルフランケンシュタインは2017年1月29日まで日生劇場で上演、その後 大阪・福岡・愛知で公演予定ですよん。
もーとにかく理屈じゃなくイイ!ので、お見逃しなく~!
コメント
まみろうさん、はじめまして!
宝塚からミュージカル・舞台にはまったわたしは、OG出演公演のお話こそ耳にはいっていたものの、他の演者さんが主役の舞台にあまり興味をもっていませんでした。せいぜい帝劇なら観るかというかんじで…。
でしたが、去年「ガラスの仮面」で雷に撃たれたように小西遼生さんに魅せられたところに、まみろうさんのブログに出会いました。その後はまみろうさんを追うかのごとく作品を観まくり、しっかり今回のチケットを押さえていました。
今回やっと生で(ファンの自覚をもって)観劇できる公演、フランケンシュタイン!前知識を入れておきたい派としては、とてもありがたい記事でした。柿澤さん・小西さんペア、楽しみに行ってまいります。また印象の変わったところや発見などありましたら、ぜひ記事にしてください(^.^)
一方的な感謝を伝えるコメントになってしまいました…が、
またのぞきにまいります(笑)季節柄ご自愛ください。
>モモさん はじめまして。
お越しいただきありがとうございます~
お返事が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。
ガラスの仮面でヤられましたか、それはそれは・・・無理もありませんよね(笑)
しかもファンの自覚をもって初見の舞台がフランケンシュタインとは!
なんと贅沢なんでしょう!ってくらいイイですよ~
もうご覧になりましたでしょうか。
ぜひぜひまたいらしてくださいませ。
ありがとうございます、モモさんもご自愛くださいね。
コメントありがとうございます。