観てからもう4カ月も経ってしまった(大汗)
赤坂ACTシアターで上演されていた、ミュージカル「グランドホテル」を観てきました。
REDチーム・GREENチームの2チームVer.があり、どちらも魅力的な役者さんが出演される・・・
というわけで、欲張りなわたくしは両方観ることに。
マチネとソワレ、1日で両チーム観られる日があったのでチケットを取り、観に行ったんですけどね。
なんでもっと早く観に行かなかったー!!わ た し!!
と後悔するくらい、良かった!
もっと観たかったなぁ。私が観に行った日は、東京公演が終わる前々日、くらいで、もうリピートチケットも何も、なかったんですよ(涙)
もしも同キャストで再演があったら、最低2回ずつは観たいと思ってます。
さてさて、そんなにも良かったグランドホテル、あらすじはだいたいこんな感じ。
1920年代、ドイツ・ベルリン。高級ホテルグランドホテルベルリンには、様々な人々が滞在している。
若く美しい没落貴族、ガイゲルン男爵(伊礼彼方さん・宮原浩暢さん)はギャングに借金していて、その取り立てを交わしているが、ヤバめな状況らしい。
ロシアの偉大なるバレリーナ、グラシンスカヤ(草刈民代さん・安寿ミラさん)はもう、全盛期とはレベルの違う踊りしか出来ないが、秘書・ラファエラ(土居裕子さん・樹里咲穂さん)をはじめ、引き連れるカンパニーに給料を払うため、何度目かの引退公演中。
倒産寸前の織物工場の経営者、プライジング(吉原光夫さん・戸井勝海さん)は株主への業績説明のためにグランドホテルにやってきた。
ハリウッドでスターになることを夢見ているタイピスト・フレムシェン(真野恵里菜さん・昆夏美さん)は妊娠中。プライジング社長に誘われ、私設秘書としてアメリカへ渡ろうと考えた。
様々な人々が行き交うグランドホテルに、ひとりの地味な男がやってくる。彼は会計士のオットー(成河さん・中川晃教さん)。
病気により余命わずかと宣告された彼は、貯金をすべておろし、人生の最後をこの高級ホテルで過ごそうとしたのだが、予約は入っていないと言われ追い出されそうになる。
その場を救ってくれたガイゲルン男爵と意気投合したオットーは、フレムシェンとも知り合い、望み通りホテルでの最後の時を過ごせると喜んだが、その一晩に思わぬ出来事が起こり・・・
と、いうお話。とにかくスピーディで展開が早く、でもムリがあるようには感じない。人生って本当に、こんなスピードで変化が起きる瞬間があるよね、って思わされるような展開だったわ~。
私はGREENチーム → REDチームの順で観たんですけど、RED観るとまたGREENが観たくなる、というエンドレス状態に陥った。チケットあったら行ってたね、間違いなく。
個人的な感想としては、ミュージカルとしてストンと入って来たのはGREENの方。REDはところどころ、心に引っかき傷が出来るような感じで、ストレートプレイっぽかった。
役者さんはREDチームの方に好きな方がたくさんいらしたんですけど、仕上がりとして好きだったのはGREENの方でしたね。
こういうの、面白いよね。なんで、ってうまく説明できないんだけど、たぶん劇中、舞台に存在する感情のうねり的なものが、GREENの方がバランス良いと感じたんだと思う。
ラスト5分が全く違うのも新鮮だったな。私の印象としては、REDチームは登場人物が望むところへ進んでいくけど、GREENは望まない方へ進んでしまった、って感じ?
GREENはナチスの台頭をハッキリ表してるけど、REDの方はそんなの微塵も感じさせないラストになってたと思います。
劇中の心情で面白いなっておもったとこも。オットーはそれまで、堅実で質素な暮らしをしてきたんだろうけど、人生の最期を豪華なホテルで過ごそうとする。それは
「どうせ死ぬなら無駄遣いしてやれ」
っていう投げやりな気持ちではなく、
「自分の人生には縁のなかった、素晴らしい人たちが滞在するホテルに 自分も滞在することで、その人たちと肩を並べた気持ちになりたい」
ってことだと思うのね。余命いくばくもなくても、なんかポジティブでしょ。面白い(笑)
だから予約はない、と突っぱねられた時に、貴族らしい鷹揚さで助けてくれた男爵に、自分が考える「上流階級の人」を投影して憧れる。
実際には、男爵は破滅寸前でグラシンスカヤの部屋にコソ泥しに入ったりするんだけどね。でもそれがキッカケでふたりは恋に落ちるし、本当に展開がすごいわ~
グラシンスカヤと男爵が恋に落ちるポイントも面白い。そもそも男爵は昔からファンだったわけですが、没落したもの同士だ、ってことも重要なポイントなのかなと思う。
考えたら、人生の最期を高級ホテルで、と考えたオットーにしろ、スターになりたいと夢見るフレムシェンにしろ、男爵にしろグラシンスカヤにしろ、お金やステイタスに価値を求め続けている人たちだよね。
そこに執着し続けた人たちが、それを手放していく話でもある。難産の奥さんを心配するエリック(藤岡正明さん)がGREENのラスト、生まれた赤ん坊を抱いて客席へ降りてハケていくのも、あるいは「それまでの執着から離れていく」って意味でもあったんだろうか。
とか今、思い始めた。うーむ。やっぱりもう一回観たいよ~!(ジタバタ
エリックといえば、ラスト藤岡さんの歌声で締まるのが、本当に良かった!なんていうんだろうね、あの豊かというか、ふくよかな声で歌いあげられると、めっちゃ気分がいいし前向きな気持ちになるわ。
両チームに出演されている「DEATH」ダンサーの湖月わたるさんもステキだった。そういえば、英語では危うい人生を送っている状態を「dance with death」とも表現するそうな。
フレムシェンを助けようとした男爵がプラウジング社長に撃たれ、「DEATH(死)」とタンゴを踊る。悲痛で美しいシーンだったけど、あれは男爵の生きた姿そのものだったのか。
なんて思い始めるとゼッタイまた観たいって思う。再演があることを切に願います~!
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