東京芸術劇場プレイハウスで上演された、ミュージカル チェスを観ました。
まず思ったのは、チェスをどうやってミュージカルにするんだろ、ってこと(笑)
実際は、チェスプレイヤーの生涯を通して考える、「国境・国家と、信頼」ってなに?という話でした。
音楽が難解だったけど、ステージ上半分近くを占め、オープンに演奏するオーケストラもしっかり見られて、とにかく音楽を楽しんだ!って感じでしたね~。
時代は米ソの冷戦時代、チェスの大会は、国家の威信をかけた代理戦争として行われており、国の代表は文字通り命がけでチェスの勝負をしてた。
このお話にでてくるフレディも、当時実在したチェスプレイヤー、ボビー・フィッシャーがモデルになっているそうですね。ボビー・フィッシャーの名前は、1990年代の映画「ボビー・フィッシャーを探して」で初めて知りました。
実在の人物だったとは知らなかったんだけどね・・・(汗)
パンフレットもチェス盤をモチーフに、冷戦時代を思わせる冷たく硬いイメージ
さてミュージカルチェス。お話はベタでありつつ ひねりもあって、なかなか一筋縄ではいかない感じでしたよん。
敵国の人同士なのに恋に落ちてしまう2人とか。
国を背負って戦うプレッシャーの大きさから、すがりつく相手が欲しくなるものなのかしら。それとも、お互い似てる境遇から、惹かれあうもの?
個人的には、同情や共鳴で恋に落ちることはないので、ちょっと感情移入しづらかったかな。
戦争で家族を失ったり(しかも死ぬとは限らない)、消息不明の家族が生きているかも・・・と希望を持つことの残酷さも。本当に様々な問題が内包されたお話でした。
ミュージカルでこんなに、政治的なあれこれを詰め込んだ作品も珍しいんじゃないでしょうかね。
頭脳のスポーツともいわれるチェスは、身体は動かさないけど、考え続けることで負荷がかかるため、身体的な疲労ってすごいんだそうですね。国の威信をかけて闘うなら、その疲れはなおさら。
そんなチェスの試合をテーマに、裏側に人と国家、家族、信頼といった関係性が埋め込まれてました。
お話は時代性や、国民性の違いもあって、なかなか感情移入しにくいので、面白くないと感じる人も少なくないかも。でも歌声は間違いなく楽しめる。オーケストラと歌う人がタイミングを合わせる、という、他ではなかなか見られない瞬間もしっかり見られました。
あ、あとね、アービター役の田代万里生くんがステキすぎたよ!機械仕掛けみたいな動きも、誰とも目を合わせてないような表情も、もちろん歌声もね。
2014年のスリル・ミー以来、万里生くんもお仕事が気になるひとりです。贔屓が増えるとスケジュールもお金も厳しくなっちゃうから困るね(笑)
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